特別調査案件 案件001賃貸の入居・退去重要度 3:契約前に必ず確認要注意

退去費用(原状回復費)の請求は、国のガイドラインと「入居年数」で確かめる

賃貸の退去時に請求される原状回復費について、借主が負担するもの・しないもの、壁紙などの経過年数による負担割合、退去立会いで確認することを整理します。

更新
公開
2026年10月22日
情報確認日
執筆
黒サギ(調査担当)
確認
確認者のレビュー待ち
読了目安
約5分

結論まずここだけ読めば大丈夫です

すぐ契約してよいか
退去立会いのその場で、精算書や同意書に署名しない。見積書(項目・数量・単価)を受け取ってから確認します。
比較が必要か
必要です。請求の各項目を、国土交通省のガイドラインと契約書の特約に照らし合わせます。
必要な人
退去費用の見積もりや請求を受け取った人、これから退去する人。
不要な人
敷金の精算が終わり、内容に納得している人。
最低限確認すべきこと
  • 請求項目が「通常の使用による損耗・経年劣化」ではないか
  • 壁紙・床などの入居年数(経過年数)が負担割合に反映されているか
  • 補修の範囲(部屋全体か、傷のある面や箇所だけか)
  • 契約書に、借主負担とする特約が具体的に書かれているか
目次

どんな人が困りやすいか

賃貸住宅から退去する人です。退去立会いで、管理会社の担当者から壁紙の張替えやクリーニング、鍵交換などの費用を一度に示され、その場で精算書への署名を求められることがあります。何が借主の負担なのかを知らないと、本来は貸主が負担する費用まで払うことになります。

仕組み:借主が負担するもの・しないもの

ガイドラインでは、借主が負担するのは、故意・過失、善管注意義務違反(通常求められる注意を怠ったこと)、通常の使用を超える使用による損耗・毀損です。

区分 例 負担
経年変化・通常損耗 日焼けによる壁紙・床の変色、家具の設置跡、画びょうの穴程度 貸主
借主の故意・過失など 落書き、タバコのヤニや臭い、ペットによる傷、結露を放置して広がったカビ 借主
鍵 紛失・破損がない場合の交換 貸主
鍵 紛失・破損による交換 借主
清掃 通常の清掃をしていた場合の専門業者による清掃 貸主

※表は代表例です。個別の判断は、損耗の程度や契約書の特約によって変わります。

経過年数で負担割合が下がる

借主の過失で壁紙を汚した場合でも、張替え費用の全額を払うわけではありません。

原状回復費シミュレーターで、入居年数を入れて負担割合の目安を計算できます。

料金の内訳

支払総額 =
  1. 補修費(壁紙・床など)借主の故意・過失による部分だけ。経過年数で負担割合が下がる
  2. ハウスクリーニング費通常の清掃をしていれば原則は貸主負担。特約がある場合は金額と合意の有無を確認
  3. 鍵交換費紛失・破損がなければ原則は貸主負担
  4. 消耗品の交換畳表・襖紙・障子紙は経過年数を考慮しない扱い。ただし借主の過失による汚損・破損が前提
  5. 諸経費・管理費何の費用か説明を求める
  6. 敷金からの差し引き上の合計を敷金から差し引き、残りは返還される

注意すべきポイント

  • 退去立会いのその場で、金額の入った精算書への署名を求められる
  • 見積書が「原状回復工事一式」など、項目や数量が分からない書き方になっている
  • 傷が1か所なのに、部屋全体の壁紙の張替え費用が請求されている
  • 入居年数に関係なく、張替え費用の全額が請求されている
  • 契約書に特約がないのに、クリーニング費や鍵交換費が請求されている

良心的な事業者の見分け方

  • 退去立会いでは状態の確認だけを行い、後日、項目・数量・単価の入った見積書を出す
  • 借主の負担とする理由を、写真や入居時の記録で示す
  • 入居年数による負担割合の計算を見積書に書いている
  • 質問に対し、ガイドラインや契約書の条項を示して答える

契約前チェックリスト

契約や支払いの前に、ひとつずつ確認してください。

0 / 8 項目を確認済み

チェックはこの端末のブラウザにだけ保存され、運営者には送信されません。

代替手段

  • 請求額に納得できなければ、署名や支払いをせず、根拠の説明を求める
  • 都道府県の賃貸住宅・宅建業の相談窓口や消費生活センターに相談する
  • 少額訴訟など法的な手続きが必要か、法テラスで確認する

困った場合の相談先

  • 消費者ホットライン

    消費者庁(最寄りの消費生活センター等につながる)

    188

    契約・購入のトラブル全般。どこに相談すればよいか分からないときの最初の窓口。

    電話番号・受付時間は公式サイトで最新情報をご確認ください。

  • 都道府県の不動産取引・賃貸住宅の相談窓口

    各都道府県(宅地建物取引業の担当課など)

    不動産会社(宅地建物取引業者)の対応、賃貸の契約・退去精算の相談。お住まいの都道府県名と「宅建業 相談」で探せます。

    電話番号・受付時間は公式サイトで最新情報をご確認ください。

  • 不動産適正取引推進機構(RETIO)

    一般財団法人 不動産適正取引推進機構

    不動産取引のトラブル事例・判例の検索、相談。

    電話番号・受付時間は公式サイトで最新情報をご確認ください。

  • 法テラス(日本司法支援センター)

    日本司法支援センター

    法的な手続きが必要か知りたいとき。利用条件により無料法律相談の案内あり。

    電話番号・受付時間は公式サイトで最新情報をご確認ください。

情報源

  1. 行政機関国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月) 確認日 2026年10月22日
  2. 法令民法 第621条(賃借人の原状回復義務)・第622条の2(敷金) 確認日:記事の情報確認日を参照

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